「あれからすぐ織田くん、仕事で海に出ちゃったから会っていないよ。電波が届かないところがほとんどで、やり取りも数えるほどだけ」

「そうなんだ」

あからさまにがっかりしたみどり。だけどすぐにまた表情を明るくさせた。

「でも仕方ないね! なんたって織田くん、超エリートらしいから」

「え……そうなの?」

小首を傾げる私に、みどりはテーブルの上にあったメモ紙にペンを滑らせた。

「私も聞いた話なんだけどね、織田さんって防衛大学を卒業後、広島の江田島にある海上自衛隊幹部候補生学校に進学して、三等海尉に任官後、出世を重ねて異例の若さで三等海佐に昇格したんだって! すごいよね~」

ペラペラと専門用語を交えて話すみどりに、ついていけなくなる。

「えっと……ごめん、一からもっとわかりやすく説明してくれる? それにどうしてみどりってばそんなに詳しいの?」

みどりが書いたメモを見ても、織田くんの階級がどれほどすごいのか理解できない。

それなのにどうして、みどりはこんなにも詳しく知っているのだろうか。

すると彼女は照れ臭そうに話した。