再び止まる手。だけどすぐに自分に『今は仕事中』と喝を入れて、棚割り表の作成に取りかかった。



「やだー高校時代の杏、可愛い。これは織田さん、惚れちゃうのもわかるわー」

キッチンの方まで届くみどりの甲高い声。苦笑いしながらふたり分の紅茶を淹れて、お茶菓子と一緒にトレーに乗せリビングへ戻る。

日曜日の十五時過ぎ。築五年と新しく、2LDKの私の住むマンションへやって来ていた。

そして来るや否や、『高校の卒業アルバムが見たい!』と言い出したのだ。

「もう、急に来たいっていうから何事かと思えば……。まさか、卒業アルバムを見るためだけに来たって言うんじゃないでしょうね?」

テーブルに並べながら尋ねると、みどりは首を横に振った。

「そんなわけないでしょ? 杏に話したいこと、聞きたいことが山ほどあったからだよ」

パタンと卒業アルバムを閉じると、彼女は紅茶を飲みながら弾む声で聞いてきた。

「あれからどう? 連絡は取り合っているの? もしかして何度かデートをした?」

一気に聞いてきたみどりに呆れながらも、ひとつひとつに答えた。