「滝本が辛い時、そばにいられなくてごめん」

「えっ……?」

ゆっくりと顔を上げると、織田くんは今にも泣きそうな顔で私を見つめていた。

「昨夜、事情を聞いて悔しかった。滝本が辛い時にそばにいられかった自分が」

「そんなっ……! そんなことない。だって仕方ないじゃない。仕事だったんだもの」

だからそんなこと言わないでほしい。気にしないでほしい。だけど彼は苦しげに唇を噛みしめた。

「仕事だとしても、滝本が辛い時は一番そばにいたかったし、守ってやりたかった。……ごめんな」

「織田くん……」

やっぱりみどりに言われた通り、織田くんに全部メッセージで話しておけばよかった。そうすれば彼は、もっと早い時間に私の家を訪ねてきてくれたかもしれない。

陸人にあんなことをされずに済んだかもしれない。私がちゃんと話していたら……!

でも今となっては、たらればの話で過去はどうやっても変えることができない。大切なのは今だよね。