今、ドアの前にいるのは誰だろうか。宅急便? 新聞の勧誘? それとも織田くん……?
お願い、私はここにいるの。助けて……!

助けてほしいのに陸人が怖くてなにもできない。すると再び鳴るインターホン。陸人は苛立った様子で舌打ちした。

二度鳴らしたってことは、織田くんじゃない。だって織田くんには合鍵を渡しているもの。彼なら私が留守だと気づいたら、合鍵を使うはず。

私、どうなっちゃうんだろう。陸人は私をどうしたいの? こんな一方的なことをして満足なの?

次から次へと零れ落ちる涙。

お願い、織田くん。助けて。

心の中で必死に彼の名前を呼んだ時、ガチャリと鍵が空く音が。

「……っ」

そしてゆっくりと開かれたドア。陸人越しに見えたのは私たちを見て、愕然とする織田くんだった。

「志賀……? お前、なにやって……」

「織田……」

まさか織田くんが合鍵を使って入ってくるとは夢にも思っていなかったのか、陸人も呆然となる。

だけど次の瞬間、織田くんは声を荒らげた。