もう私と陸人は終わっているんだよ? それに終わりにさせたのはそっちなのに、どうして今さらそんなこと言うの? どうしてこうなっちゃったの?

色々な感情が沸き起こり、ポロポロと涙が零れ落ちる。途端に陸人は狼狽え出した。

「どうして泣くんだよ。……嬉しいだろ? また俺とやり直せるんだ。昔みたいにふたりで楽しく毎日を過ごせるんだぞ?」

陸人こそなにを言っているの? 昔のように過ごせるわけないじゃない。

だって私が好きなのは陸人じゃない。この先もずっと織田くんだけだから。

自分の意思表示をするように顔を思いっきり横に向けた。

「なんだよ、その態度は。俺がこんなに杏のことを想っているのに……!」

狂気を含んだ瞳を向けられ、恐怖で動けなくなる。

怖い、誰か助けて。……助けて、織田くん!

固く瞼をギュッと閉じた瞬間、インターホンが鳴った。

その瞬間、陸人は大きく身体を反応させ、さらに強い力で私の口を塞いだ。そして耳元で囁く。「絶対に声を出したり、暴れたりするなよ」と。