焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲

陸人は私たちが裏口から出たとは到底知る由もなく、彼と鉢合わせにすることなく最寄り駅に着いた。

「ここまで来ればもう大丈夫だろう」

「はい、本当にありがとうございました」

門脇部長のおかげで本当に助かった。

深々と頭を下げると、彼は耳を疑うことを言う。

「よし、じゃあ今滝本が世話になっている友達のマンションに行くぞ」

「えっ?」

嘘、もしかして門脇部長、みどりの家まで送ってくれるつもりなの?

目を瞬かせる私に彼は「早く」と促してきた。

「そんなっ……! ここまで送ってくだされば充分です」

すぐに彼を引き留めて訴えるものの、却下される。

「バカ、このままここで帰せるか。いいから甘えて遅らせろ」

「でも……」

「でもじゃない」

きっぱり言うと、門脇部長は先に改札口を抜けていく。

本当にいいのかな? 申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけど……。
つい後ろを振り返ってしまう。