「興味ない人が見たら、退屈するような展示物もあったからどうかなって思って俺からは誘わなかったんだ。……だから楽しんでもらえて、こうして会うことができて嬉しいよ」

胸は苦しいほど締めつけられ、痛みに耐えるように唇をキュッと噛みしめた。

織田くんは気づいているだろうか。あなたの言葉ひとつで、こんなにも私が心を乱されていることに。

……きっと知らないよね。だって織田くんと違って私は彼に、なにひとつ自分の気持ちを伝えていないから。

ジッと隣に立つ彼を見つめていると、急に織田くんは照れ臭そうに話し出した。

「それとこの前、会いたいってメッセージくれてすごく嬉しかった」

「えっ……あっ」

そうだった! 私、メッセージで会いたいって送っちゃっていたんだよね!? それによく考えれば会うのは、頬にキスされて以来だ。

なんか普通に話しちゃっていたけど、思い出すと恥ずかしい。

「あのメッセージのおかげで、残りの航海勤務も頑張れたよ。……誰か待ってくれている人がいると思うだけで、幸せな気持ちになれた」

「織田くん……」