駅近くのコジャレた居酒屋に入る。
平日の早めの時間だったので予約なしでも個室に案内された。

とりあえずビールで乾杯し、もちろん私はウーロン茶だけど、気の置けない人との飲み会は安心する。

「皆さん同期なんですか?」
「そうだよ。」

可憐ちゃんの問いに、小田くんが身を乗り出すようにして答える。

「素敵ですねぇ。私、同期と仲良くないですもん。」

可憐ちゃんがうっとりして言うと、小田くんが親指で宗田くんを指しながら言う。

「こいつが仁科のこと気にしてるから自然と仲良くなった感じ。」

それに対し、宗田くんはひきつった笑みを浮かべた。
小田くんったら、何を言い出すんだ。
誤解されるような言い方はやめてほしい。

「わかります!私も真知さん気になりますもん。」

可憐ちゃんが大きく頷いて私を見た。
キラキラした純な瞳が眩しい。

「真知さん素敵ですよね。」
「…は?」

突然の褒め言葉に、ポカンとしてしまう。

「いやいやいや、可憐ちゃんの方が素敵でしょ。可愛いし女子力高いし人当たりも良いし、大人気じゃない。」
「何言ってるんですか。真知さん美人だし優しいし気が利くし。大尊敬ですよ。」

私と可憐ちゃんが褒め合いをしていると、小田くんがボソリと言う。

「何か、女の褒め合いって裏がありそうで怖くね?」

小田くん、マジ失礼だし。
ドン引きだし。

私がどつく前に、宗田くんが小田くんの頭を叩いた。