私達は、もやもやする気持ちを互いに押し合い、自転車を進ませた。 公園の脇から入る、信号もない裏道。 地元でもあまり知る人はいない隠れ道。 どちらも何一つ話せないまま、ファミレスは近づいてくる。 (話すことなくなったら、きっと話せるよね。) かのんはそう言い聞かせながら、自転車を漕ぐ南に向かって、たわいない話しをしていた。