ばかだなぁ、先生。

田舎道をガタガタ走る古いバスに揺られて
私は考えていた。

先生にとったら
私ってアッサリな女子高生に見えるんだ。
じゃあ私は上手に隠せているんだね。
この、先生への燃えるような愛を。

悔しくないわけがない。
先生の奥さんに嫉妬しないわけがない。
先生が31で奥さんは3つ上のはずだから34歳か。
34歳のオバサンが憎くてしょうがない。
私より早く生まれて先に先生に出会って
ずるいずるいずるいずるい。
年少さんの子供もずるい。
先生と同じ家に住んで同じ空気吸って
一緒にお風呂入って絵本読んでもらって
ずるい。
私だって、先生とお風呂に入りたい。
ただいまって言われたいしおかえりって言いたい。
同じベットで眠ってみたいよ。
お腹の赤ちゃんだって、
今日ははぐらかされたけど、確か冬に生まれる。
ということは半年くらい前まで先生と奥さんは
セックスしていたということだ。
私とセックスしてる時、奥さんともしてたと
いうことだ。

先生はこの春、うちの学校に
東京から赴任してきた。
先生が挨拶するため体育館の壇上に上がった時
私は息を飲んだ。今もはっきり覚えてる。
まず顔が小さかった。
それから脚が長かった。
身長は175センチとすごく高いわけではなかったが
小顔と脚が長いせいでスタイル抜群だった。
田舎で家が農家という生徒が多いうちの生徒は
みんなよく手伝って日に焼けていたが
先生の肌は白くて遠くからでも綺麗だとわかった。
マイクを持つ指にも見入ってしまった。
ゴツゴツしていない、
白くて長い指に楕円形の爪。

顔もクラスの男子や他の先生達、
近所のおじさん達と圧倒的に差があった。
先生は切れ長の目なのに黒目が大きく
眉毛も整えられ鼻筋は通っていた。

生まれて初めての一目惚れだった。
そして初恋だった。

神様が先生と私の恋愛勝負でもさせていたなら
私はハナから負けていた。
あの頃から今日も明日もあさっても
私はずうっと先生に負ける。