「先生のとこ、赤ちゃんいつ生まれるの」
パンツを履きながら訊ねる。
教室後ろの時計の針は5時過ぎを指していた。
夏はこんな時間もまだ明るかったのに、
秋になるとだいぶ日も暮れていた。
冬になったら、きっと真っ暗だ。
そしたらこの後ひとりでバスを
乗り継いで帰るんだよなぁ。
先生は車通勤で、いいね。

「俺、凛ちゃんのそういうこと
サラッと聞けちゃうとこ好きだなぁ」
先生が笑いながら言う。
「え?なんで?どう言う意味?」
私が不思議に思って問いかけると
「だって凛ちゃん俺のことすきでしょ?
奥さんのお腹に俺の子供いるとか
普通は嫌なんじゃないの。
でも凛はそういうところアッサリしてるし
顔は可愛いし、スタイルいいし、
オッパイの形もいいし、いつもイイニオイするし、
ほんと最高。
俺、凛が一番好きだなぁ。
さて、宮野さんはバスでご帰宅ですね。
送ってあげられなくて本当に申し訳ない」
先生は服を整えるとメガネをする。
そうすると、さっきまでのエッチで甘えて
可愛い先生は私の担任の先生になる。

「大丈夫です。先生、さよーなら」
そして私も40人の中の一人に戻るのだ。
私は会釈して先に視聴覚室を出た。
この時、振り返ったり手を振ったりしないのが
私なりのルールだ。