世良くんは目立つから、いたら、絶対すぐに見つけられる。


目立つっていっても、派手とか、そういうことではない。


彼の存在感だ。


存在感が、すごいんだ。


なのに、その存在感は、正門を出るまでには感じられず、見当たらなかった。


正門を抜けて、右、左、と辺りを見渡す。


「──っ!」


右方向、道路の向こう側に──彼の姿を、見つけた。


「世良くんっ!」


大きな声が出た。


信号をわたる。走って向かう。


「世良くん…っ!!」


もう一度呼んで、かけよる。


追い付いた。よかった…。


「…西埜?」


振り返った世良くんは、いつものポーカーフェイスに驚きが混じっていた。


「どうしたの?」


「はあ、はあ…っ。あのね、これ……!」


息を整えるのも後にして、わたしは急いで彼にあの手紙を差し出した。


世良くんは“なにこれ”といった様子で受け取り、中身を開いた。