「西埜?どうしたの?」
突っ立ったままのわたしがまるでおかしいかのように、言われる。
「だ、だめだよ勝手に」
勝手に入ったのがばれたら、絶対怒られるよ。
心配するわたしをよそに、世良くんはおかしそうに小さく笑みを浮かべた。
「大丈夫だよ、今日俺、図書委員だから」
「え、そ、そうなの?」
っていっても、図書委員でないわたしがここに入っていい理由にはならないと思うけど。しかも、図書業務ではなくて個人の勉強をするなんて。
というか、世良くんが今日図書委員だなんて知らなかった。
わたし、それを見越して来たなんて思われてないよね…!?
誤解していないといいな…。
だってわたし、世良くんが図書委員ということさえも知らなかったんだから。
正直、だれがなんの委員会なのか把握なんてしていない。
しかもわたしはこの後期、委員会に入っていないから余計に。
橋本くんが学級委員会ということは、さすがに認知しているけれど。
「やらないの?」
「え、あ、や、やるっ」
わたしはあわててパイプイスに腰かけた。
すると世良くんも隣に座ってきた。
隣といっても、パイプイスひとつぶんの距離はある。



