「うわあああ…」


わたしは頭を思い切りふとんに擦り付けた。


なになになに……なんなの今の夢は……っ!!!


夢に出てきた“彼”は──間違いなく、世良くんだった。


わたし、なんて夢を……!!!


もしお母さんが起こしにこなかったら、図書室以来の、唇へのキスを夢の中で──


ってわたしのばかあああ……!!!


もう、わたし、ほんとにおかしい。


土曜日にされたおまじない以来、まるで魔法にかかったみたいにふとしたときに世良くんのことが頭に浮かんでくる。


あれからお母さんにはちゃんと謝れて、仲直りできたからよかったんだけど…。


世良くんってば、ほんとうに魔法をかけたのかな?


そんなことを真剣に考えていると、もうベッドから降りなければならない時間から20分も過ぎていて、わたしは急いで制服に着替えた。




「っああー!!」


学校に間に合ったはいいけど、席につくなり、重大な忘れ物をしたことに気がついた。


「どしたの!?胡春」


隣にやって来ていたメグちゃんが驚いた瞳を向けた。