「なにって、応援するって言ったよね?今」


世良くんの口調はさっきからいつもとなんら変わらない。


さも当たり前のことかのように言う。


だから一瞬秀才の世良くんが言っていることが正しいんじゃないかと錯覚してしまう。


だけど、


「わ、わたしじゃなくても…!!世良くんのことすきな子はたくさんいるんだから…っ」


これは間違いなくわたしが正しい。


世良くんがわたしにキスしたということは、彼は現在彼女やスキな人がいない。


ならば、きっとキスするならだれでもいいんだ。


それだけ聞くと遊び人みたいだけど、ちゃんと“ストレス軽減”という理由があるようだ。


「俺のこと好きな子って、だれのこと?
俺は、西埜に言ってるんだけど」


そう言ってわたしの腕を軽く引っ張り、さっきから突っ立ったままなのを自分の隣に座らせた。


「…っ」


世良くんが、強引だ…。


いつも読書している彼とはちがう。


もう、さっきからドキドキがうるさいよ。


顔も熱いし…せっかく下がった熱が、上がってきた気がする。


世良くんのせいだ。