「ふっ」


目の前で軽く吹き出すような声が漏れた。


えっ?今、世良くんのほうから聞こえたんだけど…。


「なにそれ、おもしろい」


世良くんが、笑ってる。


「西埜って天然なんだね」


はじめて、見た。


世良くんがそんなふうに笑ったとこ。


いつもクールな印象なのに…笑うとすこし、可愛い…かも?


「見た目からして天然そうだもんね」


あれ?なんだか、馬鹿にされてない?


天然とは、たしかに言われるけど…。


というか、天然って具体的にどういうことをいうのか、未だにわからない。


だけど、決してほめられてはない…はず。


「怒らないでよ」


「お、怒ってないよっ」


ただ、どんな反応をしたらいいのかわからない。


だって、話の内容が内容だし…。


世良くんとこうしてちゃんとしゃべるのなんか、はじめてだから。


自分から質問したんだから、後には引けないことはわかってるけど…。


世良くんの笑顔をはじめて見たのはすごく貴重だけれど、間違ってるなら間違ってると笑わずに言ってほしい…。


「うんそう、そうだよ」


パチリと目線を合わせられる。


「え…?」


「最近勉強するのがストレスなんだ」


「そ、そうなの?」


「うん」


よかった、わたしの考えは合っていた。


勉強がストレスだなんて…ストレス感じるほど勉強をして、トップをキープしているだなんて。