「胡春、じゃあゆっくり休んでね」


保健室まで一緒に来てくれたジャージ姿のメグちゃんは、小さく手をふって体育館のほうへと駆けていった。


ちなみにメグちゃんとダイくんはあれからすぐに仲直りしたみたいでよかった。


「ありがとう、メグちゃん。バスケがんばってね」


今からの授業は体育で、女子は体育館でバスケをするようだ。


わたしはジャージ姿ではなくて、制服のまま。


どうして保健室に来たのかというと、実は朝から微熱がある。


教室での授業を休むほどはしんどくないから受けていたけど、体育の時間はどうせ見学なので保健室のベッドで休むことにした。


保健室の女の先生は「西埜さんね。先生から聞いてるよ」と穏やかな表情を浮かべてベッドを貸してくれた。


「ありがとうございます…」


「しんどそうね。熱あがってきたんじゃないの?」


「そうかもしれないです…」


うちの高校は土足だ。ローファーを脱いでベッドへとあがった。


「私はちょっと出てくるわね。ぐっすり寝てていいからね」


先生はカーテンを静かに閉めてくれた。


そのあと保健室を去る音がした。


わたしは頭を枕につけ、柔らかい掛け布団を首まで覆って、ゆっくりと瞳を閉じた。


しんどさから解放されるように思ったよりはやく眠りについた。