きらびやかに光るイルミネーションのなか、世良くんは、ゆっくりと口を開いた。
「瑠美は……俺の、彼女なんだ」
予想通りの、言葉を告げた。
予想通りだったけど……わたしの胸には、ずっしりとのしかかってきた。
彼女、そっか、彼女か。世良くん、彼女、いたんだ。勘違いじゃなかったんだ。
ずっしりとのしかかってきたはずなのに、思考は変に冷静だった。
「瑠美は幼なじみで…3つ年上のT大の1年生」
わざわざ大学名を言ったことに、わたしは意味を感じた。
世良くんがT大を目指していることをわたしが知っているから、言ったんだ。
世良くんは、彼女である瑠美さんがいるから、T大を目指しているんだ…すごく納得した。
それならどうして…瑠美さんを裏切るようなことを……。
「俺が瑠美と付き合っているのは……瑠美への、償いのためなんだ」
一度立ち止まり、わたしに体を向けた世良くん。
だけど、目と目は合わない。
「償い………?」
「今日も化粧で綺麗に隠していたし、暗いからわからなかったと思うけど…瑠美の右頬には、大きなやけどの跡があるんだ」
「…!?」
やけどの跡…?まったく、気づかなかった…。
「それは、小学生のとき、俺の不注意で…。もし目が焼けていたら、失明してた可能性もあった…」
ゆっくり、ゆっくりと、説明してくれる世良くん。
わたしは思わず、息をのんだ……。



