「さて・・帰るか。」


携帯灰皿に吸い殻を入れたムサシは、待機させていた相棒のトナカイの元へと向かった。






「・・・・・・・・ん?」


近づくにつれ、相棒のトナカイが何とも言えない表情で自分を見ている事に気付いた。


「・・・!?」


と同時に、自分が座るはずのソリの上、
誰かが座っている事に気付いた。




「運転手さーん。
駅までおねがーい。」


「おい女。

これはタクシーじゃないし、
俺は運転手でもねぇ。

さっさとどけ。」


ソリまで着いたムサシが見下ろす先にはトロンとした目でこちらを見る女の姿があった。