頬にじんわり温かい感触がして、我にかえる。 顔をあげると、美羽の母親が微笑んだ。 その笑顔に大切な人の面影を感じて、完全に目の中の堤防が決壊する。 泣いても泣いても、止まらない。 滝みたいに大量の涙が押し寄せてくる。 『私はもう行くから。また、美羽に顔あわせてやってちょうだいね』 そして去り際、彼女は言った。 『ありがとう。美羽のことで泣いてくれて』 その言葉を境に、俺は泣き崩れた。