美羽の母親の声が、耳の奥で反響する。 『だから陵くんにばれないように、1番端っこの部屋にしてもらって』 『でも、ずっと隠し通せるわけじゃないでしょう?』 『美羽には悪いけど、伝えておいたほうがいいと思ったの』 「今…美羽は…?」 声になったのは、たったこれだけ。 信じられなかった。 俺が美羽より先に死ぬ。 そう信じて疑わなかったから。 だから、ものすごく怖くて、 美羽は生きていますか、なんて聞けなかった。