それから、美羽は病院に来なくなった。
人との繋がりなんて、所詮この程度。
触れては離れてゆく。
仲が深まったと思っても、心の距離は縮まらない。
それどころか、すれ違うことだってある。
美羽のやつ、意外とあっけないもんだな…
なんて、自業自得なのにちょっと失望したりもした。
その日は来客があった。
「陵くん、体調はどう?」
声の主は、美羽の母親。
顔立ちは娘そっくりで、つい美羽の顔が脳裏をかすめる。
「まぁまぁですかね…」
気まずくて、目を逸らす。
「今日は話があって来たのよ……あの子には怒られるかもしれないけれど、陵くんに内緒にするのはどうしても気が引けてねぇ…」
こんな前置きの後に語られた現実に、
俺は言葉を失った。