「お~い?陵?来たよ~」

聞き慣れた声がする。
何度も何度も、名前を呼んでくれた。
いつだって、励まし続けてくれた。


でも。そんな彼女の声も、
あと何回聴くことができるのだろう…


「本当は起きてるんでしょう?自分から呼び出しておいて。先生から、今日のぶんの宿題預かって来たよ」

「あぁ。ありがとう」

そんな彼女───美羽に、いつも通り礼を言って、病室のベッドの端っこを指先でトントンする。
美羽は困ったように笑って、そこに腰掛ける。
これも、いつも通り。


これから話すことを思うと、徐々に胸に痛みが走った。

だけど、やめるわけにはいかない。
俺は、美羽に告げなければいけないんだ。





俺の命は、長くてもあと2ヶ月で燃え尽きることを。