「はい、集合して下さい。
先日決めたグループで、自由に楽しんで下さい。
集合時間までに、必ず帰ってきて下さいね。
何か困ったことがありましたら、僕か和也先生に連絡を入れて下さい。
それでは、いってらっしゃい。」

午前中金閣寺や十円玉でも有名な平等院等を見て回り

今は嵐山と渡月橋で自由行動をしている。

限られた範囲での自由行動なので、お土産を買ったり

橋を渡ったりしているため

教師も同じくお土産を買ったり、のんびり散策している。

単独になると生徒に捕まってしまうため

こんな時でも樹と一緒にいる。

樹もはぁちゃんのヤキモチで泣かれるより、俺と一緒にいる方が良いらしい。

俺は特別渡す相手がいないため、土産は買ってない。

何せ彼女は直ぐ側で、姉ちゃんの土産を選んでいるのだから。

「ちぃちゃん、進路が決まってから………落ち着いたね。
『結婚したい』って和君が言った時は、びっくりしたけどね。
和君にもそんな情熱があったのかって、大和も驚いてたし。」

「お陰で、女子高生と付き合ってるのがバレて煩い。」

「そりゃ、しょうがないよ。
俺ならともかく、和君だからね!
おまけに、はまった女の子が女子高生じゃあ
興味示さない方がおかしいよ!
ちぃちゃんが短大にしたのって結婚したいから?」

「俺と結婚……て言うか、籍を入れてしまえば
俺の金で、生きたいように生かせてやれるってのが……本音だけどな。
千尋は親の脛をかじりたくないみたいなんだ。
高校は出してもらったけど……大学は働きながら行きたいと言って………。
だったら……結婚を早くしたらいいかな?って。
さすがに、高校卒業して直ぐ結婚は………世間的にも親も許さないだろうし。
短大行く間は、ウチで生活の面倒を見たら学費はバイトで補えるかと思って。
短大卒業して、やっぱり大学に行きたいと言えば行かせるし
仕事をしてみたいと言えば、共働きで良いかと。
俺も千尋も家庭の愛情に飢えてるから……
卒業して家で子供と過ごしたいと言えば、それでいいし。
この学校は、のんびりして給料も良いから……
千尋一人くらいどうにでもなるから助かる。」

俺の言葉に

「和君、変わったね。相手が一番なんて………。
まさに青天の霹靂だよ!」

生意気な樹の頭を一発叩いて、和紙の栞を選ぶ彼女の近くに行く。