「ねぇ、先生。
学校って……………後何日行けるかな?
2月になったら、自由登校でしょう?卒業式まで………行かないよね?
部活を引退して…………
居場所が、クラスにしかなくなったのに………
それさえも………自分達の場所じゃ無くなるんだって思うと……
淋しいの。
春になったら、先生はまた新しい生徒と出逢って………
学校で楽しい時間を過ごすのに……
私は、先生も樹先生も………はぁちゃんもいないところに行くんだよ。」

千尋は、姉ちゃんと二人が淋しいのかと思っていたけど

新しいところに巣だって行くことが、不安なのかもしれない。

だから、俺や樹やはぁちゃんと繋がっていたいのかも。

「尋は居場所が無くなるんじゃないよ。
増えるんだ。
新しい大学という場所で、新しい友達と楽しい時間を作る。
もちろん、高校は無くならないし
俺や樹、大川先生だってこの場所にいるから……
会いたくなったら、いつでも帰ったらいい。
尋の家だって、姉ちゃんはいつでも笑顔で『おかえり』と言ってくれるだろう?
あれと一緒。
ここと家があるように、高校と大学がある。
友達だって、新しい友達が出来たら……はぁちゃんを忘れるか?
そんな事ないだろう?
だったら、はぁちゃんだって一緒。
どんなに新しい友達が出来ても、尋を忘れる事はないし
尋との思い出は、ずっとはぁちゃんの中にある。」

不安そうな千尋に、精一杯の言葉をかける。

「………………うん、そうなんだけど………」

千尋はこの3年間で、絶対的な安らぎや居場所を求めるようになった。

両親が離れたように、俺や樹・はぁちゃんが去って行かないか

今も不安なんだろう。