「和君は、ちぃちゃんとどうしたいの?」

どうしたいのかと聞かれたら………

「結婚したい。」

「「ブッ!!」」

樹に被せて、唐揚げを運んできた大和までが吹き出した。

「汚ねえなぁ。」

俺の睨みも無視して、笑い転げる二人。

そんなに変なこと言ったか?

まぁ、言ったか…………。

ちょっと前の俺には、家庭なんて想像出来なかった。

それが『結婚したい。』だもんな。

しかも女子高生相手に…………。

人間変われば変わるものだ。

「それ、ちぃちゃんに言ったの?
もしかして……それで悩んでるんじゃない?」

「嫌、それはない。
付き合ってから、ちょくちょく言ってるから。
今さら驚かない。」

一人にしないと伝えるために、何度も言ってきた。

「でも、今まではおままごとみたいなもんでしょ?
今回はお母さんのこともあるし
和君が進路相談をして、将来のことを真剣に考えてて言ったんでしょ?
たぶん、ちぃちゃんの受け止め方は違うと思うなぁ。」

樹に言われて…………ハッとした。

確かに今までと違う。

彼女が真剣に悩んで当たり前だ。

バッと立ち上がると……

「樹、好きなだけ飲んで帰れ。」と言って出口に進もうとした。

「和君、ちぃちゃんのこととなると……ホントに余裕がなくなるね!
こんな時間から何処に行くつもり?
今日はマンションに泊まってないよね?
『樹と飲みに行く』ってメールしてたでしょう?
実家に行くの?」と…………

確かにそうだ。

尋は家に帰ってる。

座り直した俺に

「でも、そんな和君……悪くないよ。」と生意気な口をたたく。

「うるせえ。」

喧嘩をしてた頃でも、こんなに頭に血がのぼることなんてなかった。

…………千尋に振り回されてるなぁ。

明日はじっくり聞き出す。

不安も涙も……全部俺に背負わせろ!と…………。