「それがね、最近新しい友達が出来たみたいで……
しょっちゅう電話してるの。
それも、スッゴい長電話。
元々、話すのが苦手な人だから………不思議なんだけどね。
お正月も、私が先生と『おめでとう。』を言って電話した時に
隣のお姉ちゃんの部屋の電話も鳴って、『おめでとう。』って言ってたの。」

「それって、彼氏じゃないの?」

「あぁ、それはないよ。
お姉ちゃん、男の人が苦手で………
彼氏が出来た事もないから。
……………………でも、そっかぁ~!
彼氏を作ったら、良いんだ!
ねぇ、先生。
先生の友達で……お姉ちゃんを紹介出来るような人っていない??」

千尋のアイデアは、いつも突拍子もない。

教師の俺との付き合いを、コソコソ隠してるのに………

どうやって姉ちゃんに俺の友達を紹介出来るんだ??

「千尋ちゃん、良いアイデアだと思いますが
俺達の付き合いを内緒にしてるのに
どうやって姉ちゃんに紹介するつもり?」

俺の話しに

「今すぐは無理だけど
先生が嫌じゃなかったら、お姉ちゃんには早目に紹介したいなぁって
思ってるの。
絶対に理解してくれるお姉ちゃんだし………
先生は、自慢の彼氏だもん。
コソコソ隠してるなんて、もったいないよ。
両親なんて、どうでもいいの。
でも、お姉ちゃんと先生は……仲良くなって欲しいなぁって。」

千尋の言ってることは、ムチャクチャだが…………理想だ。

幼い千尋らしい考えだけど………

笑ってばかりの内容ではない。

現実になれば、これほど理想的な話しはないのだ。