「尋の母親が……浮気してる。」

「えっ?お父さんじゃなかったの??」

「親父もお袋も………両方だ。
千尋は……どっちも目撃したらしい。」

「あぁ~それはまた…………。
それが原因で寝不足??」

「詳しいことは聞いてないが………間違いない。」

「そっかぁ。
それで、俺は何をしたらいい?
俺にして欲しいことがあるから、呼び出したんでしょ?」

30手前の男に、首を傾げられても気持ち悪いだけだが……

今はそれさえ気にならない。

「何もない。」

「えっ!何もないの??」

「あぁ。
ただ、意見を聞かせて欲しい。
お前は、はぁちゃんと…………どうするつもりだ?
後、一年でここを巣立つ彼女と……どうやって付き合って行く?」

「はぁちゃんは……学校の先生を目指してるから……
大学に進学するよ。
ウチの大学でも教職は取れるから……そのまま上がると思う。
後五年して……それから先生になって……。
結婚は随分先の話しになるかな?
その頃には、ご両親も俺達のことを認めてくれるかなぁって思ってる。」

そうだった。

先日の進路相談の時、樹先生のような先生になりたいと言っていた。

『樹が二人になるのは止めてくれ。
だけど、教師は向いてると思うから……頑張ってみろ』と話し

ウチの大学なら、今の成績で問題ないとも言った。