「ーーー幸せなんて、所詮幻想だよ」




胸ポケットに忍ばせていた箱から取り出したのは新しい煙草。

それを咥えながら投げつけられた、質問の答え。



先生は、綺麗事を言わなかった。

教師のくせに生徒に希望を持たせてくれないなんて。



「やっぱり先生は悪い大人だ」

「おまえはこんな大人になるなよ」



再び舞い上がる紫煙の中、
先生はフッ、と笑ってた。

私の知らない貴方が、そこにいた。