「俺も他の男みたいに、簡単に抱いてくれると思った?」

「!!!」

あまりのことに、声も出ない私の身体を、その腕が優しく引き寄せる。

「とりあえず今はさ、朝飯作ったら好きなときに帰っていいから」

ベッドの中で抱き寄せられた感触に、伝えられた言葉の冷たさに、私の頭は混乱するしかなかった。

「おやすみ、芙美」

耳元で囁かれた声に、どうしようもない虚しさと、何故か震えるほどの喜びを覚えた。

私はやっぱり、どうかしている。
こんなことなら、来なければ良かった。
私、何しに来たの?
なんでこの男と一緒に眠ろうとしてるの?

全てがまた、わからなくなった。