「まあ、俺以外の男とさせるつもりないけど」
「そんなの……」
「うん。だからそれまではさ、あの部屋で俺と新婚ごっこしない?」
だってもう声が出ないよ。
「あーあ、泣いちゃった」
その手が私の頬を包む。
伝わる熱に、涙が次々と溢れ出す。
「とりあえず、今から部屋に帰って芙美を抱きたい。その後は、そうだな……週末にでも引越ししようか?」
涙を拭う指先が、苦しいくらいに愛おしい。
「それで色々落ち着いたら、プロポーズでもしようと思うのですが、家崎さんはいかがしょうか?」
その笑顔が大好きで大好きで、
「お、お願いします」
私は涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま、愛しい王子さまに抱きついた。
雨は、もう止んでいる。
【王子様と雨宿り】

