「俺も、昨日よりも好きになってる」

「椿社長はいつも大袈裟です」

「芙美は違うのか?」

「それは……」

「ん?」

「好きです。昨日よりもずっと」

言い終わってすぐに視線を逸らすと、「よく出来ました」と髪を撫でられた。
それから耳朶に唇が触れて、くすぐったくて逃げようとする私の目元と頬にも甘いキスを落とされた。

「椿社長」

「名前」

「……王子」

「ん、いい子」

私の全てを受け止めてくれるような大きな二つの手に包まれて、そっと瞼を閉じると、息をする間もなく唇が塞がれた。甘く、だけど強引に。
溺れる様なキスと一緒に、真っ白なシーツは波を描く。
絡め摂られる舌が溶けて一つになる瞬間。

昨日までよりも甘い熱が、二人を包んだ。



私の王子様は、今日も甘い。



【王子様と甘い朝】