「隠したいなら、俺が隠そうか?」

「え、待ってください」

「なんで?」

「だから朝からは、んっ」

優しく私の胸を包んだ手の温もりに、昨夜の情事を感触を鮮明に蘇えらせる。

「感じた?」

「感じてない!」

「可愛いな、本当に」

「もう、そういうこと言わないでください」

恥ずかしくてどうにかなりそうだ。

「事実だから伝えているだけだ」

「でも、」

「とにかく今はさ、芙美が俺のものになったこと、もっと実感させてよ?」

「……ずるい」

そういう言い方をされたら、拒めなくなる。

「そういうところも好きだろ?」

自信に満ちた言葉も嫌味に聞こえないから困る。
敵うわけない。

「聞かなくても、わかっているくせに」

「でも芙美の言葉で聞きたい」

そう言ってまた、好きかと聞く椿王子に小さく頷けば、幸せそうに笑ってくれる。