1.王子様と甘い朝

目が覚めると、カーテンの隙間から漏れる明かり、ゆらゆらと私の頬を照らしていた。
ホテルのベッドのように白で統一された寝具は肌触りも良く、私は包まるように身を捩る。
柔らかなシーツと素肌が擦れる感触に、昨夜の情事が甦る。

「……しちゃったんだ、私」

規則正しいリズムで繰り返される寝息が耳を擽って、身体が一気に熱を取り戻す。
腹部には、背後から私を抱きしめるように腕が回されていて、一晩中抱きしめられていたことに気づく。
椿王子と結ばれてしまった。
互いの想いを伝えあって、その手に抱かれてしまった。
伝わる熱は堪らなく恥ずかしくて、だけど心地良い。
こんなにも幸せな朝は、初めてかもしれない。
後悔なんて、どこにもない。

その顔を見たくなった私は、どうにか身体の向きを変えるように動く。
ふと、静かな部屋に着信を知らせる機械音が響き渡った。
私の携帯ではない。
つまり、まだ眠っている男の携帯電話だ。

「椿社長、起きてください」

身体を起こした私は、その肩に触れる。