全身が満たされる程の幸せを感じた。
それはゆっくりと重なった唇と同じくらいに熱くって、絡まった舌よりももっと甘い感覚。
私の中に溶けるように伝わるその男の全てに、心臓が壊れそうなくらい震えた。
つまり私は、恋をした。
どうしようもないほど、好きになった。
それはもう、抜け出せないくらいに。
「椿社ちょ……ンっ、見られてます」
熱く深く、互いの息を共有するようなキスは、会場中の視線を集めていく。
「いいよ。見せつけて、芙美が俺のものになったって、他の男にわからせたい」
「そんなの、」
「いいから、俺だけ見て」
たぶんきっと、出逢った瞬間からずっと。
もしかしたら出逢う前から。
お伽噺の二人みたいに、こうなることが決まっていた。
「早く、好きって言えよ」
それくらいに、幸せなキス。
「好きです、椿社長」

