「つまり俺が芙美を騙して、他の男たちの玩具にしようとしたと」

「……ごめんなさい」

視線を逸らしたいのに、そうさせてくれないほどに、強く私を掴む手から伝わる熱に、また涙が零れる。

「名誉毀損で訴えてもいいくらいだ」

優しく微笑む目の奥は、少しも笑っていない。

「俺の気持ちも知らないで、勝手に最低男呼ばわりって、マジで迷惑な女だと思ってるよ」

「それは自分でもバカだったと思っていて」

「ああ、本当にバカ。どこをどうしたらそんな勘違いに至るのか説明して欲しい気分だ」

尤もだ。尤もな言葉だけれど、でも椿社長にも責任はあると思う。あの噂のことは私が悪いけれど、そう思わせるような素振りをしたのは椿社長だ。

「椿社長が、あんな風に抱こうとするからです」

「は?」

「あんな乱暴な言い方されたら、遊ばれているんじゃないかって、誰だって不安になりますよ」

それまでキスしかしてくれなかったのに、突然あんな風に、ただエッチしたいだけみたいな言い方されたら、本気じゃないって思っちゃうよ。

「それはお前だろ」

「……え?」