今日の朝ごはんは弟二人のリクエストのパンケーキ。
彼らに「兄さんの作るパンケーキはふわふわで絶品」と言われては、もう作るしかないだろう。
俺の手作りパンケーキを食べた弟二人の笑顔を思い出しながら、材料を出す。
家族6人分の材料を出すのはそう容易くない。
その上、末の妹は元からいっぱい食べるのと、ソフトボール部で体を動かすため、更に食べるようになった故、小麦粉は一袋丸々使う。
ホットケーキミックスを使わないのかって?
市販のものじゃ再現できない食感でね。あれを使うのは邪道なのだよ…
由宇お兄ちゃん特製のふわふわパンケーキは手間と暇をたっぷりかけて完成するのだ!
「お兄ちゃん~。着替えてきたよ。手伝うね!」
「さゆありがとう」
ようやく健全な格好に着替え、早百合がキッチンに入ってきた。
兄妹4人でお揃いにしているデザインの、黄色のエプロンを着け、調理器具を持ってくる様はまるで新妻だ。
そして重い小麦粉を運んでる俺を一瞥すると、こちらへ駆け寄ってきた。
ぴょこぴょこしている寝癖がとても可愛らしい。
「もーう!お兄ちゃんモヤシなんだから重いものは私に任せてよ!」
と俺の持っていた小麦粉を軽々と取り上げた。
カチン。
いくら弓道部で鍛えていた早百合とはいえ、その発言は聞き捨てなら無い。
好きな人に力でナメられてたまるかッ!
早百合から小麦粉を奪い返し、上に持ち上げて早百合が届かないようにする。
身長差20㎝はなかなか大きく、ぴょんぴょん跳んで小麦粉へ手を伸ばすが、届きそうにもない。
「お兄ちゃん!返して!これは!私が!運ぶのっ!」
「長男ナメんな!」
「弓道部ナメんなっ!」
小麦粉を巡る攻防戦を始めて数分が経ち、そろそろ腕が限界を迎えプルプルしててきた。
だが、早百合の方も疲れてきたようだ。
これは早百合が折れるのも時間の問題か?
「…なにイチャイチャしてるの?」
キッチンの入り口から眠そうな声が聞こえ振り返ると、眠い目を擦っている末の妹…陽向がこちらをジーっと見ていた。
その瞬間、早百合が目を輝かせ、小麦粉を捕ろうとしていた両手を陽向に向けた。
「ひなちゃん!おーはーよっ!」
早百合は陽向をぎゅーっと抱きしめた。
そう、早百合は陽向大好きっ娘で、このおはようのハグは毎朝している。
「おはよう…ねぇねぇ…ラブラブする相手間違えてる~…」
と言いつつも、陽向は自分より背の低い早百合の頭を撫でている。もうどっちが姉なんだか…
「ひなおはよう。ひなもパンケーキ作り手伝ってくれる?」
パンケーキ、という単語を聞いてすぐに陽向の目の色が変わった。
「パンケーキっ!?朝ごはんパンケーキなのっ!?よっしゃー!あたしも作る作る!」
さっきの眠そうな姿は何処へやら。陽向は大層嬉しそうにドタバタとエプロンのあるダイニングへ向かっていった。
キッチンを出て数秒後にひょっこり顔を出し「あっ!にぃにぃおはよっ!」と言うのも忘れないのが本当に可愛い。
また数秒後、オレンジのエプロンを着た陽向が再びやって来た。
3人いれば予定より早く朝ごはんが完成しそうだ。
早百合が材料の配分して、陽向がそれを混ぜて、俺が良い感じに焼き上げる。
この焼き具合でふわふわ度が決まる。
弟達の為にもここは慎重にやらなくては。
一枚、二枚とどんどん重なるパンケーキが崩れそうになり、二枚目の皿に突入した辺りで、キッチンに気配を感じた。
「おはよう。おおっ!今日はパンケーキだ!」
「マジ!?っしゃ!兄さん手作りなら美味しいの確定じゃん!あ。おはよう」
二人の弟…隼斗と陸斗が目を覚ましたようだ。
案の定二人とも積み重なったパンケーキを見て歓喜の声をあげている。よしよし。
そして二人も同様にエプロンを着け、冷蔵庫から野菜を取り出した。
これで俺と妹二人がパンケーキ作り、隼斗と陸斗でサラダ作りという東兄妹の完璧朝食連係プレーの完成だ。
この技は、毎日朝から晩まで働きづめの忙しい両親のために編み出した、他の兄妹にはできないであろうものである。
子供達5人を育てるために頑張ってくれる両親への俺達兄妹ができる僅かな事。
俺ら5人共、両親にはとても感謝してもしきれないから。
彼らに「兄さんの作るパンケーキはふわふわで絶品」と言われては、もう作るしかないだろう。
俺の手作りパンケーキを食べた弟二人の笑顔を思い出しながら、材料を出す。
家族6人分の材料を出すのはそう容易くない。
その上、末の妹は元からいっぱい食べるのと、ソフトボール部で体を動かすため、更に食べるようになった故、小麦粉は一袋丸々使う。
ホットケーキミックスを使わないのかって?
市販のものじゃ再現できない食感でね。あれを使うのは邪道なのだよ…
由宇お兄ちゃん特製のふわふわパンケーキは手間と暇をたっぷりかけて完成するのだ!
「お兄ちゃん~。着替えてきたよ。手伝うね!」
「さゆありがとう」
ようやく健全な格好に着替え、早百合がキッチンに入ってきた。
兄妹4人でお揃いにしているデザインの、黄色のエプロンを着け、調理器具を持ってくる様はまるで新妻だ。
そして重い小麦粉を運んでる俺を一瞥すると、こちらへ駆け寄ってきた。
ぴょこぴょこしている寝癖がとても可愛らしい。
「もーう!お兄ちゃんモヤシなんだから重いものは私に任せてよ!」
と俺の持っていた小麦粉を軽々と取り上げた。
カチン。
いくら弓道部で鍛えていた早百合とはいえ、その発言は聞き捨てなら無い。
好きな人に力でナメられてたまるかッ!
早百合から小麦粉を奪い返し、上に持ち上げて早百合が届かないようにする。
身長差20㎝はなかなか大きく、ぴょんぴょん跳んで小麦粉へ手を伸ばすが、届きそうにもない。
「お兄ちゃん!返して!これは!私が!運ぶのっ!」
「長男ナメんな!」
「弓道部ナメんなっ!」
小麦粉を巡る攻防戦を始めて数分が経ち、そろそろ腕が限界を迎えプルプルしててきた。
だが、早百合の方も疲れてきたようだ。
これは早百合が折れるのも時間の問題か?
「…なにイチャイチャしてるの?」
キッチンの入り口から眠そうな声が聞こえ振り返ると、眠い目を擦っている末の妹…陽向がこちらをジーっと見ていた。
その瞬間、早百合が目を輝かせ、小麦粉を捕ろうとしていた両手を陽向に向けた。
「ひなちゃん!おーはーよっ!」
早百合は陽向をぎゅーっと抱きしめた。
そう、早百合は陽向大好きっ娘で、このおはようのハグは毎朝している。
「おはよう…ねぇねぇ…ラブラブする相手間違えてる~…」
と言いつつも、陽向は自分より背の低い早百合の頭を撫でている。もうどっちが姉なんだか…
「ひなおはよう。ひなもパンケーキ作り手伝ってくれる?」
パンケーキ、という単語を聞いてすぐに陽向の目の色が変わった。
「パンケーキっ!?朝ごはんパンケーキなのっ!?よっしゃー!あたしも作る作る!」
さっきの眠そうな姿は何処へやら。陽向は大層嬉しそうにドタバタとエプロンのあるダイニングへ向かっていった。
キッチンを出て数秒後にひょっこり顔を出し「あっ!にぃにぃおはよっ!」と言うのも忘れないのが本当に可愛い。
また数秒後、オレンジのエプロンを着た陽向が再びやって来た。
3人いれば予定より早く朝ごはんが完成しそうだ。
早百合が材料の配分して、陽向がそれを混ぜて、俺が良い感じに焼き上げる。
この焼き具合でふわふわ度が決まる。
弟達の為にもここは慎重にやらなくては。
一枚、二枚とどんどん重なるパンケーキが崩れそうになり、二枚目の皿に突入した辺りで、キッチンに気配を感じた。
「おはよう。おおっ!今日はパンケーキだ!」
「マジ!?っしゃ!兄さん手作りなら美味しいの確定じゃん!あ。おはよう」
二人の弟…隼斗と陸斗が目を覚ましたようだ。
案の定二人とも積み重なったパンケーキを見て歓喜の声をあげている。よしよし。
そして二人も同様にエプロンを着け、冷蔵庫から野菜を取り出した。
これで俺と妹二人がパンケーキ作り、隼斗と陸斗でサラダ作りという東兄妹の完璧朝食連係プレーの完成だ。
この技は、毎日朝から晩まで働きづめの忙しい両親のために編み出した、他の兄妹にはできないであろうものである。
子供達5人を育てるために頑張ってくれる両親への俺達兄妹ができる僅かな事。
俺ら5人共、両親にはとても感謝してもしきれないから。
