「誰?」

そこには、明るい茶色の髪をした男と、黒髪の男がいた。
片方は明るそうでもう一人は無口そうだった。

「すごい...」

「感動した」

「何かの曲のカバーか?」

「いや...」

「じぶんでつくったのか?!あんなきれいな声初めて聞いた」

「ああ。しかも、心に入り込んでくるような...人を夢中にさせる歌だった」

「あの...誰?」

「あ!そっか」

そう言うと謎の二人は帽子と眼鏡を取った。

「これでわかる?」

しかし、遥香は首を傾げるだけだったので驚いた顔をした。

「もしかしてわかんない?」

「はい」

「そっかぁ~。ま、いっか」

「は?」

「観客その1と2とでも思ってくれ」

「はぁ」

「ねぇ君。僕達と一緒に来ない?その荷物の量からすると家出でしょ?家に帰りたくないなら、ね?」

「...まず、家出ではありません。あと、行くってどこにですか?」

「まずは事務所。俺たちアイドルなんだ!」

「君の歌はすごい。歌手になってみないか?」

「はい?」

「社長もぜったい、いいっていうと思うんだ!せめて話だけでも!あと名前も!」

「...名前くらい、そっちが教えてくれたら教えますよ」

「じゃぁ、事務所来てくれ!」

「この時間になってもこんなところにいるってことは、泊まるあてもないんだろう?頼めば一晩くらいは泊める事もできるかもしれない」

「うちの社長、厳しくてめったに表情を表に出さないって有名だけど流石にこんな可愛い困った女の子一人もとめてやらないような人じゃないと思うしね」

「私可愛いですか?」

今の遥香は目にかかるくらいの長い前髪に親に適当に切られ長さがまばらな長めの髪に眼鏡(伊達眼鏡)そして地味な色の服だった。
地味という言葉が似合うとても可愛いといえるような格好ではなかった。

「うん?かわいいとおもうよ?」

「...あと、私人を信じないって決めてるんです」

「なぜ?」

「関係ないでしょ」

「でも!「でも、泊まる所がないのも事実ですので、その事務所とやらに連れてってください。とめてくれるなら話聞きます」