「そういえばハルカ。何で入り口にクマが座ってんの?」
テラス席の方を指差しながら、思い出したように彼女が聞いてきたので、知っているだけの情報を伝えた。
「ん~とね。あれ、店長の思い出の品なんだって」
「……ダンディーな外見でクマ?」
「やっぱりそこ気になる?」
クスクス笑いながら、二人同時にチーズケーキを頬張った。
「うん、おいしいね」
幸せな甘さに頬が緩み、その流れでお喋りは加速していった。
会社の愚痴や、化粧品の話。
今シーズン話題のドラマ、俳優。
同級生の現状など。
久々に再会した私達に、話題は尽きなかった。
何よりも、気の許せる友人と何も考えずお喋りに興じる事ができることの楽しさを噛み締めていた。