二人の注文を聞いたウェイターは「かしこまりました」と口元の髭をニコリと動かすと、カウンターへ戻って行く。
「ダンディーイケメンだったね」
水の入ったコップを口元に運びながら、機嫌良さげに彼女が笑った。
「あの人、店長だよ」
「え、ハルカ知り合い?」
「うん、前にちょっと、ね」
ふーん、と意味深な笑みを浮かべながら、彼女は頬杖をついてカウンターを眺めた。けれど急にウェイターが振り向いたことに慌てて、取り繕うように机へ向き直る。
その拍子に肘が当たったグラスから、カランと音がした。
それからあまり待つことも無く。
先程とは別のウェイターが、日替わりケーキを運んで来た。
