「うーん」
 店の主人は腕組をすると、あたしの腕の中ですやすや睡眠中の見た目だけは超可愛い美幼女をみつめた。
 しばらくして。
「そりゃ、あんたとんでもない拾い物をしたんだなあ」
「とんでもない?」
「見立て違いかもしれないが……」
「はっきりしてよ」
「それはな、竜の子供。それも伝説の古代竜の子供かもしれない」
「古代竜? なんだいソレ?」
「なんだ、知らんのか? 竜はな、今となっては使い魔に使うような知能も低い小さな竜しか残っていないが、古代には、体は大きく高い知能を持ち高度な文明を築いていた。人間はまだ影の形もないころの話だよ」
「人間はまだいないってのに、なんでそんなことがわかるんだよ」
「遺跡が残っているのさ。魔法ってのは、その古代竜たちが遺跡に残した技術から開発されたんだ」
「そうなのかい」
「まあそれはともかく問題は、とっくの昔に古代竜は姿を消しているから、今更子供が出てくるってのも変な話だな」
「変な話って、古代竜の子供だとか言い出したのあんただし。だいたい何でそんなご立派な古代竜は姿は消したんだ?」
「それは古代史、最大の謎だ」
 なぜか店の主人は胸を張って答えやがった。そんなこと自慢してどうすんだ。
「とにかく、魔法庁に紹介状を書いてやろう。いや、一緒に付いて行ってやろう。こいつはひょっとして定説を覆す世紀の発見だ」
「世紀の発見って」
 なんだかいやな予感がする。
「その子は微に入り細に入り、調べられることになるだろうよ」
 あたしはくるりと背を向けて店から飛び出した。