森の中。
 へんな生き物を拾った場所。
 あのときはろくに周りを調べもせず、あわてて飛び出してきたけれど、よく考えればあの近くに何か手がかりがあるに違いない。
 きっと。
 たぶん。
 もしかしたら……。
 いまだお休み中のエル(仮称)を抱いたまま森に入る。
 あの時は馬だったけど、今度は徒歩だ。
 徒歩のほうが見落としたものを見つけられるに違いない。
 見つけられると、いいなあ。
「ちょっと待ちなさい」
 さくさくと下生えを踏み歩くあたしに声がかかる。
 振り返るとそこには、黒いマントを羽織った怪しげな老人と老婆の二人。
 さらに筋肉隆々な体を見せびらかすようにぴっちりとした皮服に、ごつい剣を背負ったどこの剣士だという格好の魔法屋の主人。
 ほんとに追いかけてきたわけね。