海に行く日がやってきた。

司は朝早くから秋菜の家にやって来て、待ちきれない様子だった。


「秋菜！起きろ！」


いつものように中々起きない秋菜をせわしなく何度も起こす。

あまりにしつこく起こされるので、7時前に目を覚ました秋菜は少し不機嫌だった。


「まだ早いじゃん！
あと１時間は寝れたのに」


「はぁ？！
ギリギリまで寝てるよか、早めに起きた方がいいじゃん」


「司がそうでも、あたしは寝てたい人なの」


「たまには早起きも悪くねぇよ」


司は秋菜の不機嫌なんてお構い無しで鼻歌を歌いながら楽しそうにしている。

何度も鞄の中を確認して、時刻表をチェックしている。

秋菜はそれを尻目にブスッとした顔でリビングのソファーに腰を下ろすと、母親が用意してくれたコーヒーを口にした。

ブラックコーヒーは、否応なしに眠気を吹き飛ばして行く。