「ま、憧れとかそんなもんだろうから、ほっとけばそのうち他に好きな子見つけるよ、多分」


友利の言葉を信じて、秋菜は司に会っても何事もなかった顔をしていた。

司の視線に気が付いていても知らないふりを通した。



司は中学を前に身長が伸びはじめ、急に男らしくなっていった。

それまでの幼さが消え、体つきも逞しくなっていった。


「俺、秋菜よりデカくなったんだぜ」


その頃から口調も変わり、僕ではなく俺と言うようになった。

司は司なりに、必死で秋菜に釣り合う男になろうとしていた。

秋菜と一緒にいても弟に見られないように、どんどん綺麗になっていく秋菜に追い付くように。