さくらは苛々していた。

原因ははっきりしていた。

司と秋菜だ。

主に司の方だったが、司が夢中になっている秋菜は目障りでならない。

初対面で本性を見破った人は今までいなかった。

両親でさえもが


「さくらは可愛くて素直ないいコだ」


と思い込んでいる。

学校では一時期噂が立ったが、それでも素を見せる事なく過ごしている。

唯一本性を知る友利には何かと張り付いているので言い触らす事はないだろう。

さくらは司に興味を持ち、年下でもいいから欲しいと思った。

本気で手に入れたいと思った男は初めてだった。

今までは人のものを奪うスリルがたまらなくて、ただそれだけの為に男に手を出していた。

友利の時もそう。

亮太の事を好きなわけではなかった。


「落とすならまず秋菜を消さなきゃね」


携帯を開きながら、さくらはニヤリと笑った。