「と、止めてぇぇ!」


あまりの回転の早さに、音を上げたのは秋菜の方だった。


「怖かった…司やりすぎ!」


「ごめんな、秋菜…
ちょい休もうか?」


「…平気。
ってか、あんたは平気なの?
昔は気持ち悪くしてたじゃん」


「あー、平気!
俺も成長したからさ」


司は得意げに笑った。


「さてと、次、どれ?」

「うーん…あ!
司、勝負しよっか?」


ニヤリと笑いながら秋菜が指さしたのはサーキット型のコースを周回するゴーカートだった。

司もニヤリと笑い頷いた。


「なんでー?嘘ー!」


「フッ、俺の圧勝!」


司はVサインをしながら当然というような顔をした。

秋菜は今まで何度も勝負をした事があったのだが、司に負けたのは初めてだった。


「初勝利のご褒美は?」


司は甘えるような目で秋菜を見た。

秋菜は司のそういう子犬のような表情に昔から弱い。


「何がいいの?」


秋菜が言うと司は意味深な顔で秋菜を見つめた。