「……もう。
すぐおねえちゃんに会いにくるんだから……。
まださむいんだから風邪ひいちゃうよ。
はやく帰ろう?」
音は俺のうでをひっぱって、
さっき走ってきた道を
今度は俺をつれて歩いていく。
そのうしろ姿が、海音とかさなる───。
「あっ、空羽!」
もうすこしで家につきそうなとき、
弟の空羽が
音の家の前に立っているのがわかった。
それにきづいた音が、
俺のうでをはなさずにそのまま走っていくから
むりやり走らされる。
「兄貴なにサボろうとしてんの。
準備しないんだったら肉食べれないから」
そう言って今度は音のうでを空羽がつかんで、
ふたりで先に家のなかにはいっていく。
今日は音と空羽の中学卒業パーティー。
海音と音の家ですることになっている。