キーンコーン──
もう少しで遥斗の手を握りしめたまま眠ってしまいそうになったとき、四時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
わたしはハッとして、ゆっくりと遥斗の手を離し立ち上がった。
遥斗はぐっすりと眠っている。
うなされていたときより、顔色がよくなってきている。
よかった………。
心の中でつぶやいて、遥斗の綺麗な寝顔をじっと見つめた。
遥斗、汗かいてるな………。
額にはたくさんの汗がにじんでいる。
そうだ、なにか飲み物買ってこよう…!
そう思って一度保健室から去り、自分の教室へ戻った。
優香に「お腹痛いのなおった?」と聞かれ、わたしはうそをついて保健室へ行ったことを思い出した。
心の中で謝りながら「うん、もう大丈夫!」と元気よく答え、カバンのなかの財布から小銭を取り、自動販売機へと急いだ。
遥斗がわたしを求めてくれて、すごくうれしかった。
これを機に、また仲良くなれるかな…?
そんな期待を胸に、ポカリ片手にもう一度保健室へ向かった。