「admitは?」
「えっと~…“認める”?だっけ……?」
わたしは自信なさげに答える。
「正解。じゃあ次は~」
優香が順々に問題を出してくれる。
勉強とは関係ない話をしている者や、わたしたちのようにペアになって勉強している者、一人でもくもくと机に向かっている者、爆睡中の者……自習の時間は、ひとそれぞれの過ごし方をしている。
「affordは?」
「ねえ優香。さっきからわたしばっかり問題だしてもらってるから、次変わるね」
そう言って単語帳を手に取ろうとしたら。
「大丈夫大丈夫、わたし昨日家で全部覚えたから!」
「ぜ、全部!?」
びっくりして腰を抜かす。
わたしは昨日竜とカラオケに行ったくせに、あのあと寝るまで机に向かってすらいない。……まあ、あのあとに勉強しろっていうほうが難しい。遥斗のことが頭から離れなかったからだ。
朝起きて、よし、気持ち切り替えよう!てなっていたのに……今また、わたしの頭の中にはさっきしんどそうにどこかへ向かっていた遥斗がちらついている。