冷たい幼なじみが好きなんです



「なあ。俺がお前に言ったこと、忘れたのか?」


“なんでそんなにすぐに忘れるんだ?”
“ほんとにお前は馬鹿だよな”
“そういうところが、嫌いなんだよ”


そんな言葉が続いているような気がしてならなかった。


どうしてわたしは約束を忘れてしまっていたんだろう……ほんとに馬鹿だ……。

遥斗にますます嫌われてしまった。そうにちがいない……。


「…アイツになに言われたんだ?」


なにも返事できずにいるわたしに竜が怪訝そうな表情で尋ねてきた。

竜もなんだか、いつもの竜と雰囲気がちがう気がする…。


「えっと……遥斗以外の男の人を、この家に入れるなって……」


なんとか声を絞り出して説明した。

竜はなにも悪くないのに、約束を守らなかったわたしが悪いのに、竜まで嫌な気持ちにさせてしまう……。

わたしのそんな心配をよそに、竜は堪えきれないように笑い始めた。


「ハッ。独占欲丸出しかよ。うける」


竜が今笑っている理由も、言葉の意味も、わたしにはまったく理解できなくて。


「だまれ」


遥斗の不機嫌極まりないオーラにただ飲み込まれて、どうしていいかわからなくなった。